ぶにゃねこに起こった体験はそれだけではないのにゃ。
精神科隔離病室において、ぶにゃねこには、テレパシーが備え付けられたのだった。
どのような方法を用いたのかは不明ではあるが、プロトタイプとなるテレパシーが発現した日付としては、記憶として存在している。
テレパシーの相手は、署長を名乗ったMという人物。まやかしにより、以前から声は聞こえていた。隔離病室には誰もいない。
全能を感じさせながら、すべての言葉を疑わなければならない。
ロマンチストだが、サイコパスといってよい。常に、にやにやしている空気を感じる。
のちに、「信義則は破るために存在する」と笑い草を語った。
今後、3年に渡ってテレパシーの相手方となる、ぶにゃねこの強大な相手方であり、多岐に渡る助言者でもある。
署長Mは当時、ぶにゃねこをテレパシーを用いて、自身を狙うヒットマンたちの「まことしやかなまやかし」と共に絶望に陥れた。
ぶにゃねこには、駐車場の入り口に張られたバリケードを突破しようかという、装甲車、高階層まで、数分掛からずツタが伸びる植物による人海戦術、ライフル銃による狙撃者のまやかしがあった。
目の前の数本の大木を利用しての太い枝を敷き詰めての、簡易ヘリポートの作成と、ヘリコプターのプロペラ音が鳴り響いていた。
思い返してみると、信じ難いことではあるがにゃ。
しかし、そういった「まやかし」により、ぶにゃねこは隔離病室内において、自死を選ぶに至った。これは錯乱と言うよりか、適切な判断と言うべきものであった。
それほどの恐怖感に追い詰められたのだった。